
食品・菓子・乳業の市場調査|「売れている理由」を売り場と流通から読み解く
目次
食品の市場調査が「数字だけ」では足りない理由
食品は、日常的に購入され、価格も比較的手頃なため、市場規模や販売数量といった数字は豊富に手に入ります。しかし、その数字だけでは、なぜその商品が選ばれているのかまでは分かりません。
味や食感、パッケージ、価格、売り場での見え方など、購買を左右する要素が多岐にわたるためです。菓子や乳製品も同様で、似た商品が多い分、わずかな違いが売れ行きを分けることがあります。
本記事では、食品・菓子・乳業の市場調査で押さえておきたい視点を、売り場と流通を中心に、一般的な観点から整理します。
食品分野ならではの市場の特徴
競合商品が多く、差が小さい
同じカテゴリーに多数の商品が並ぶため、価格やパッケージ、容量のわずかな違いが選ばれる理由になることがあります。競合との違いを丁寧に比べる視点が欠かせません。
季節や行事の影響を受けやすい
夏の冷たいデザートや冬の鍋関連商品、行事に合わせた菓子など、時期によって売れ筋が大きく変わります。調査の時期を決める際は、この季節性を考慮する必要があります。
売り場から読み取れる情報
陳列位置と売り場面積
棚のどの高さに、どれだけの面積で並んでいるかは、売り場での扱われ方を示します。目線の高さや通路の端といった位置は、商品の存在感に直結します。
価格と販促の組み合わせ
通常価格に加えて、特売やまとめ買い、試食販売といった販促の有無を確認すると、価格だけでは見えない売り方の特徴がつかめます。
流通構造を理解する視点
販売チャネルごとの役割の違い
スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ネット通販など、チャネルによって売れる商品や購入する客層は異なります。チャネルごとの役割を整理しておくことが重要です。
常温・冷蔵・冷凍という温度帯の違い
乳製品や冷凍食品などは、温度帯に応じた物流と売り場が必要になります。流通のしやすさや取り扱える店舗の範囲は、事業の広がりにも関わる要素です。
消費者の声を聞く際のポイント
「おいしい」の中身を掘り下げる
「おいしい」という言葉には、甘さ、香り、食感、後味などさまざまな意味が含まれます。回答をそのまま受け取らず、何をもっておいしいと感じたのかを具体的に尋ねることが大切です。
購入場面と食べる場面を確認する
家庭で食べるのか、職場や外出先で食べるのかによって、求められる容量や形状は変わります。いつ、どこで、誰と食べるのかを確認すると、商品の改善点が見えてきます。
競合と自社商品を比較する観点
原材料や製法の違いを整理する
パッケージの表示から、原材料や原産国、製造者といった情報を読み取れます。競合商品との違いを一覧にして並べると、訴求のポイントを整理しやすくなります。表示の違いを丁寧に拾うことで、競合の狙いも読み取れます。
容量と価格のバランスを見る
同じ価格でも容量が異なる場合、消費者が感じる割安感は変わります。単位あたりの価格に換算して比べる視点は、価格戦略を考える上での基本です。
調査結果を商品づくりに生かすために
現場の気づきを仮説として整理する
売り場や消費者から得た気づきは、そのまま結論にせず、仮説として整理します。複数の調査結果と照らし合わせて確かめることで、判断の確度が高まります。
一度きりで終わらせない
食品は新商品の入れ替わりが早く、市場の状況も変わりやすい分野です。定期的に同じ視点で見直すことで、変化の兆しをいち早くつかめます。市場の変化を継続的に追う習慣が、商品の寿命を延ばす力になります。
賞味期限と保存方法という食品ならではの視点
賞味期限と売り場の回転の関係
賞味期限の長さは、売り場での在庫の持ち方や、値引きのタイミングにも影響します。商品がどのくらいの頻度で入れ替わっているのかを見ると、売れ行きの勢いを推し量る手がかりになります。
保存のしやすさと使い切りやすさ
開封後の保存のしやすさや、家族の人数に合った容量かどうかは、購入を左右する大切な要素です。家庭で食べ切れずに残ってしまう商品は、次の購入につながりにくくなります。こうした日常の使いやすさは、アンケートの数字には表れにくい要素です。
新商品の調査で確認したいこと
発売初期の売り場での動き
新商品は、発売直後に目立つ売り場で扱われることが多く、その後の定着までに時間がかかる場合があります。発売初期の陳列や販促の様子を、時間を置いて繰り返し確認することが有効です。
定番として定着できるかの見極め
一時的な話題で売れた商品と、継続して選ばれる商品は区別して考える必要があります。再購入されているかどうかを、消費者の声や売り場の動きから確かめましょう。
まとめ|食品の調査は「売り場」と「食卓」の両方を見る
食品・菓子・乳業の市場調査では、数字に加えて、売り場での見え方や流通の仕組み、そして食卓での使われ方まで、幅広く見ることが大切です。
自社の商品がどのような場所で、どのような人に、どのように選ばれているのか。その理由を現場の情報から丁寧に読み解くことが、次の一手につながります。



